コラム

ADPS Users Community JAPAN(DPSC)発足のお知らせ

Safari002ADPSに取り組む方の情報交換や知識共有を行うためのユーザーグループが発足しました。

ADPS Users Community JAPAN(DPSC)は高品質でインタラクティブな電子出版コンテンツを制作・配信するノウハウについて情報共有を進めるグループです。Facebook上での意見交換やオフ会、イベントも実施しメンバー間の交流を促進していく予定です。

今後は当ブログサイトや掲示板とも連係を図っていき、実際にアプリ制作の経験のある方を招いてセミナーを行ったり、制作のノウハウを学ぶ勉強会などの企画を行っていく予定です。

現在facebookページがオープンしています。こちらでは今後のお知らせなどの掲載に加え会員登録用のGoogleフォームへのリンクがありますので、Facebookを利用されていない方でもお申し込みいただけます。

Facebookページ
https://www.facebook.com/ADPSUCJ

ePublishing LAB.:ADPS Users Community JAPAN(DPSC)
http://epublishing-lab.com/adpsucj/

第1回目として2月28日(木)18:00よりゲスト講師を招いてメンバー対象の無料セミナーを開催する予定です。

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【コラム】InDesignで作るADPSとEPUBのジレンマー第4回「iPad高解像度対応にはPDF形式のFolioが使える」

●2048×1536サイズのFolioを作成すると肥大化する

3月16日は「新しいiPad」が発売され、いち早くFolio Producder Toolsも新しいiPadに搭載された高解像度の画面サイズに対応しました。画面のように新規のFolioを作成する際には、2048×1536pxのサイズが選択できるようになっています。しかし、まだ新しいiPadの解像度に対応したAdobe Content Viewer for iPadの最新版がダウンロード可能になっておらず、実際に試すことができません。

また、画面サイズに合わせてレンダリングしJPEG画像としてページが生成されるFolioは、画面サイズが大きくなると比例してファイルサイズも大きくなってしまう懸念があります。

さらに新しいiPadでは画面ピクセル面積が4倍にもなっています。実際にどのぐらい大きくなるのか1ページだけ作って検証してみました。すると4倍どころか7倍の大きさになってしまいます。

1024×768ピクセル、1ページのみのFolio=221KB
2048×1536ピクセル、1ページのみのFolio=1.5MB

Finder001

●PDF形式のFolioなら解像度に依存せず、拡大表示も可能
これを解決する方法としてPDF Folioを使う方法があります。以外と知られていないのですが、Folio Producer Toolsの段階的なバージョンアップによって、記事単位でJPEGではなく、PDFを使ったFolioを作成することができ、Overlayを含んだページのPDF Folioも作成できるようになりました。

PDFを使った場合のもうひとつのメリットとして、ピンチズームが可能になる点です。雑誌のような判型がiPadよりも大きいものをそのままiPadサイズに縮小しても文字が小さくなってしまいますが、PDFにしてピンチズームができるのであれば、拡大して見られます。

最近無料配信された『るるぶスパリゾートハワイアンズ特別版 がんばっぺ! ハワイアンズ』にも記事単位で、このPDF Folioが利用されています。タップして切り替えるようなOverlayが利用されたページに対してもPDF Folioが利用できるようになっています。ただしビデオやサウンドの再生があるページは、PDFではなくJPEG形式になっているため、拡大表示はできません。

『るるぶスパリゾートハワイアンズ特別版 がんばっぺ!ハワイアンズ』
http://itunes.apple.com/jp/app/rurubusuparizotohawaianzu/id507969400?mt=8

さて新しいiPadの高解像度に対応したサイズで書き出す際に、PDF Folioを選択した場合はどうなるでしょうか。先ほどと同じInDesignのデータを2048×1536ピクセルのPDF Folioとして作成してみます。
するとファイルサイズは、362KBと少し増えるだけです。またPDF Folioにすることでピンチズームが可能になります。こうなると、パンとズーム機能も必要ないかもしれません。

Finder002

PDF Folioを使う注意点として、PC上でのAdobe Content Viewerでは表示できず、iPad上で表示する必要があります。下記のようなメッセージが表示されます。

Adobe_content_viewer001

今後、このPDFを含んだFolioを新しいiPad対応バージョンのAdobe Content Vieweがリリースされ次第、高い解像度で綺麗にレンダリングされるのか検証してみます。

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【コラム】InDesignで作るADPSとEPUBのジレンマー第3回「プレゼンツールとしての電子書籍作成」

Columntitle●プレゼン型電子コンテンツ

現在タブレット端末上で利用される電子コンテンツには、EPUBのように読み物を中心とした電子書籍をターゲットにしたコンテンツやツールの開発が多く行われています。

それに対してAdobe Digital Publishing Suiteのように今までにないインタラクティブ性を持たせたビジュアル体験を含んだ電子コンテンツ制作ツールもあります。セミナーなどで紹介するときには分かりやすいよう、このタイプの電子書籍を総称して「プレゼン型電子コンテンツ」と呼んでいます。

これらの電子コンテンツは自分が見て楽しむものでもありますが、自分以外の人に見せるための「プレゼンテーション」としての役割が強いと考えられます。
ADPSを使って作られたアプリには、書籍や雑誌などの読み物を対象としたコンテンツが多くありますが、教育向けの言語学習ツールや美術館など、視覚的に訴えるプレゼン的な性格を持ったコンテンツが多く存在します。

InDesignで作成されたFolioコンテンツ実際に専用ビューワーで閲覧してみると画面上でタップによる画像や文字の切り替え表示、動画、音声の仕掛けなどインタラクティブな仕掛けを使えます。これは、インターネットが普及する以前、Macromind Director(のちのMacromediaからAdobeへ移管)で作られたマルチメディアCD-ROMコンテンツと似ているのが分かります。

ボタンによるインタラクティブ性とページ概念の元をたどれば、かつてマッキントッシュにバンドルされていたHyperCardまでさかのぼることができるでしょう。CD-ROMコンテンツではクリックで画面が転換するだけでしたが、iPadのように直接スクリーン上を指を滑らせるインターフェイス上にページの概念を持たせ、さらに表示端末の縦向き、横向き表示に対応させたものが、現在のビジュアル中心の電子メディアの正体です。

●Folioをプレゼンツールとして使う

つまりFolio Producer toolsはiPadを使った「プレゼンコンテンツ作成ツール」としても使うことができるわけです。ただし残念なのは、CD-ROM時代からあまり進化していないインターフェイスデザインと操作性です。それはページとサムネールビュー間の移動が分かりづらく操作しにくい点にあります。

下の画面はFolioのページビューを見た場合と、Folio全体をサムネールビューで表示した場合の画面ですが、ページビューとサムネールは分断されていて、見たいページにダイレクトにジャンプできません。サムネールでのページめくり位置も以前見た位置が記憶されており、リセットはされません。一度表示したページ位置が保持されているので、そこからページをめくっていかないとたどり着けないのです。また、Folioが横方向に記事、縦方向にページを並べている構造も複雑にしている原因の要素です。

Adps

同様の電子書籍ツールとして注目を浴びている「Push Pop Press」があります。最近Facebookに買収されたPush Pop Pressですが、このツールを使って制作された電子書籍アプリとしてアル・ゴアの「Our Choise」があります。このコンテンツでは上部にカバーページがあり、その下にサムネールビューがあります。サムネールのページやページ上の写真やムービー、グラフィックをタップしたり、ピンチイン/ピンチズームすることで、ストレスなくいつでも好きなページを拡大して見ることができます。またページは横方向にのみ連続しているので、構造が分かりやすくなっています。

Push Pop PressのOur Choiceについはこちらから購入できます。紹介ムービーなども確認可能です。
http://pushpoppress.com/ourchoice/

Push

「プレゼンテーションのし易さ」は「コンテンツとしての閲覧のしやすさ」とイコールと考えられます。Push Pop Press社は今後、このインタラクティブ性を持った電子書籍制作ツールをリリースする予定ではあります。ですが、実際にどのようなツールになるのかはまだ不透明です。

Facebook社ではなく、Adobe社がPush Pop Pressを買収して、インターフェイスを採り入れて欲しかったところですが、今後はほかにもアップルのiLife, iWorkのように手軽に簡単にコンテンツを作成できるツールが登場してくるかもしれません。そうなると、まだ未知の領域である電子コンテンツ制作アプリの勢力図が変わる可能性は十分にあります。

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【コラム】InDesignで作るADPSとEPUBのジレンマー第2回「Folioとはなにか」

Columntitle●電子書籍Folioの位置付け

連載2回目は、ADPSで使われるFolioとはどういうものなのかについて。
まず、Folioの位置付けについてです。

一般的に「電子書籍」と言われるメディアには大きく分けて2つのタイプに分類できます。1つは、既存の紙メディア向けに制作したレイアウトをそのままページごとに画像やPDFとして書き出したものを閲覧する「ページ固定型」の電子書籍形式です。
もうひとつはEPUBに代表されるテキストや画像をデータとして保持し、そのまま端末に合わせて表示が変わる「フロー型」のフォーマットです。

「ページ固定型」は画像なので「自炊」と呼ばれる、購入した書籍や雑誌などを裁断、スキャンした上でPDFなどのファイルにまとめる作業にも似ています。自炊が一度アナログになってものを再度デジタル化するのに対し、メディアを持つ出版社側でデジタルデータのまま画像に変換されているのでより綺麗に閲覧できます。
しかし画像で保持される分データサイズは巨大になってしまいます。

Folioは、インタラクティブコンテンツを挿入可能で、縦横向きに合わせてページの向きが変わりますが、データのフォーマットとしては前者の「ページ固定型」にあたります。
そしてダウンロード販売されるFolioデータサイズも巨大になってしまいます。ムービーなども含むと、ひとつの雑誌だけで500MBを超えるものもあり、数本ダウンロードしただけで、iPadのストレージがいっぱいになってしまいます。

●InDesignを使うデザイナーにとってのFolioの魅力とは

ではFolioの魅力とは何でしょう。

「ページ固定型」を「電子書籍」と呼ぶに値するかどうかの議論は置いておいて、デザイナーとしてInDesign上でレイアウトを作っていて楽しいのはEPUBよりも断然Folioです。

レイアウトされたページは見えるまま画像として保存されるので、考慮しなければならないのは、縦向きと横向きでiPadの画面サイズに合わせた小さい画面で見えるかどうかだけです。これは、紙メディア向けのデザインを作る感覚に近く、レイアウトの自由度が高いのが魅力です。

Folioを作る上ではInDesignで作成する機能上の制約も特になく、最終的な出力物はビットマップ画像またはPDFですから、もちろん縦書きも可能ですし、細やかなレイアウト表現やフォントも使い放題です。

今のところiPadの1024×768ピクセルを対象としているので解像度が低くなってしまうのが現状です。いまの解像度ではピクセルが見えてしまい、文字もボケてしまいます。Folioを作成する上でで考慮すべきなのは、解読可能な文字のサイズと、インタラクティブコンテンツの仕込み方、必要なナビゲーションの追加程度でしょう。

しかし、今後iPadの後継機が販売される際に、iPhone 4と同じように、液晶の解像度が向上し、300ppi以上の表示能力を持つとどうでしょう。Folioが対応すればより美麗な電子出版物ができあがります。

(噂ではiPad3は2560×1920を解像度になるという話もあります。これはiMacの27インチモデルの解像度を超えており、300ppi換算で印刷した際にはA5サイズを超えます。もちろんデータサイズも比例して大きくなりますが。)

●Folioはだれのためのものか
Folioのレイアウトが自由なのは、iPadやAndroidといったタブレット端末にプラットフォームを限定しているからこそ出来ることで、オープンなEPUBのように多用なメディアで表示させることを考えなくとも良いからです。

いわば、紙からiPadやAndroidに置き換わったのと同じだけともいえます。これは、iBooksのみ利用できるiBooks拡張設定を行ったレイアウト固定のEPUBにも言えます。

ただし、制作環境も再生環境もアプリケーションに依存しなければならず、「InDesignからFolio + ADPS」の宿命は「FlashからSWF + FlashPlayer/Adobe AIR」と同じ道を辿っているようにも感じられます。

InDesignというパブリッシングツールを購入し、ADPSを契約しなければ成立しないソリューションであり、それが今後何年続くのか、存続するのかもすべてメーカー次第なのです。

Folioと同じようにページめくりができて、インタラクティブコンテンツが入ったiOSアプリを作ろうと思えば、Flashに腕の覚えがある人であれば、Flashコンテンツを作成してAdobe AIRにしたりフレームワークを利用してiOSやAndroid用のアプリも作れるでしょう。

Folioは簡単にいえば、FlashやC言語を使ってiOSアプリ開発する知識や予算はないがコンテンツは持ってる。印刷用に作ったレイアウトはある。InDesignのスキルもある。といった人向けのソリューションなのです。

作成したFolioを流通させるにはADPSの契約が必要ですが、社内での閲覧や少ないスタッフや仲間内で共有し閲覧するような使い方であれば、無料のAdobe IDがあれば可能です。例えば営業用に製品マニュアルを電子化し、iPadを持ち歩いて興味がある顧客へプレゼンするといった使い方もできるでしょう。

InDesign CS5があれば、Folio用のツールは無償提供されています。使い方次第で面白いメディアを作り出せる可能性を秘めている電子メディアと言えるでしょう。

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【コラム】InDesignで作るADPSとEPUBのジレンマー第1回「ADPSとはなにか」

Columntitle●ADPSとはなにか
今回から書籍内では書けなかったInDesignと電子書籍を取り巻く現状をみたコラムを不定期で掲載していきます。第1回は、Adobe Digital Publishing Suite、略してADPSのサービスを取り巻く環境についてです。

まず、2010年にベータ版としてAdobe Digital Publishing Suiteが発表され、その後色々な言葉が登場、サービスの内容が変わるなど、混同してしまう方も多いでしょう。まず、ここで整理しておきたいと思います。

まず、大きく2つの事をまず認識しておきましょう。
1)「Folio Producer tools」はInDesign CS5/CS5.5を使ったiPad用インタラクティブコンテンツを制作するためのツール群で、デザインを行う人のためのもの。

2)ADPSとは年額料金を支払うことで、FolioをiOSやAndroid向けのアプリ化して販売を行うパブリッシャー、出版社などのためのサービスを指します。

つまり、いくらがんばってFolio Producer toolsで素晴らしいコンテンツを作っても、年額料金を支払わなければ流通させることはできないのです。これが重要です。
ただし門戸が閉められているわけではありません。ADPSは法人でも個人でも契約可能です。サービススタートは7月末ですが、販社からのパッケージ販売を考えているという担当者の方の話も聞きました。

●ADPSの費用と印刷費を比べる
では、個人でそれに見合った費用を捻出できるでしょうか。
例えば、自費出版と比べてどうでしょうか。自費出版や印刷請負を行ってる会社にもさまざまありますが、いくつかオンラインで見積りが計算できる会社で行ってみたところフルカラー50ページ500部で作ろうとすると50万前後はかかります。

ADPSを利用する上で最近発表された利用料金設定は、最低年額60万円。この契約を行うことでiOS、Android OS向けのアプリを作ることができます。
5,000Folioのダウンロード数込みという事も明示されていますが、これは継続して販売される雑誌などをアプリ内で追加販売するものを対象としており、アプリ単体の作成を申請するには特に追加コストは掛からないと聞いています。
またSiteCatalystというアドビが買収したOmmunitureの技術を使い、ダウンロード数やページ閲覧の解析が細かく収集・分析され、人気が一目瞭然でわかるというデジタルならではの魅力でもあります。

●新しい出版社を興せる可能性
年額60万円を月あたりに計算してみると月5万円、もしコンテンツを持つグループが10人集まれば1人あたり月5,000円の出費でミニ出版社を興せることになります。

これを高いと見るか安いと見るかは、コンテンツホルダーの力量次第であり、さきほど上げた自費出版の印刷費用と比べたり、流通ルートやコスト、販売価格などを総合的に見る必要があるでしょう。

たとえば、App Storeでアプリを100円で販売するとしたら、販売価格のうち7割が手元に入ることを考慮し、グループ全体の収入が70円x月1,000アプリ程度販売できれば年単位で840,000円、ADPSの費用に対して赤字にならない計算です。

またApp Storeではアプリの認可審査があり申請したアプリが登録されない場合もありますが、Android Marketは、より自由な世界観を持っており、提供したいコンテンツをそのまま販売できる可能性があります。日本国内ではiPadの事例のみ紹介されていますが、USでは実際にADPSを使ってAndroid Marketでアプリを販売開始している例が見受けられます。今後Android市場が拡大していけば、ADPS販売ルートの分母が増えるわけです。

どこからか突っ込みが入らなければ、次回はFolioとは何かについて掲載する予定です。

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