iBooks AuthorとADPSの仕様・機能を比較する
Appleから新しく発表されたiBooks Authorは、iBooks 2.0を利用してインタラクティブなコンテンツを含んだ教科書が作成可能になりました。教科書用途だけでなくさまざまなビジュアル重視の書籍が作成できるようになるでしょう。
iBooksでは今までは静的なものがメインのEPUBが使われていましたが、独自の機能追加でオープンなフォーマットではありませんが、広い用途が考えられます。実際に触ってみるとPush Pop Pressが作成したOur Choiceに酷似しています。
Twitterで多かった意見がADPSと比べてどうなのかという内容でした。そこでiBooks Authorの情報や少し触ってみた感じから比較してみました。
一番大きいのは価格の違いです。iBooks Authorは無料でダウンロードし、コンテンツの作成からiBooksを使った閲覧まで行えます。ADPSはInDesignを使ったソリューションのためInDesignを購入する必要があります。またiBooks Authorで作成したファイルは「.books」の拡張子が付いたEPUBに似たフォーマットのため、自由に配布できます。ADPSの場合はファイルとして流通させることはできず、Acrobat.comを使った共有機能を利用しなければなりません。
一方販売方法を見てみると、iBookstoreで販売を行うには日本からはまだiBookstoreに出品が行えないため、販売を行うためには、アプリ化しApp Storeで販売しなければなりません。しかしiBook Authorで作成したコンテンツからアプリを作成することができません。
ADPSの場合には、初期費用がかかりますが、Editionを購入したり、大日本印刷が発表したような受託サービスを利用することでアプリ化し販売を行うことができます。そのため確実に販売を行おうとすると現段階では選択肢がADPSなどのアプリ化を行うツールを使う必要が出てきます。
ADPSの優位性はWindowsでも開発ができることやAndroid向けも開発できる。などの点でしょうか。無償で配布するのではなく販売に向いたものと言えます。
機能を細かい部分まで使い込んでいないので、全てを網羅できていませんが仕様や機能について簡単に表にまとめてみました。
iBooks Author V.S. Adobe Digital Publishing Suite
価格・仕様 | Adobe Digital Publishing Suite | iBooks Author |
価格 | 93,240円(InDesign CS5,5のAdobeStore価格) | 無料 |
作成フォーマット | Folio | .ibook(ネイティブデータは.iba) |
書き出し対応フォーマット | PDF(InDesignから書き出し) | PDF, Text |
閲覧用リーダー | Adobe Content Viewer | iBooks 2.0 |
再生プラットフォーム | iPad, Android Tablet, Blackberry | iPad, iPhone, iPod Touch |
オーサリングプラットフォーム | MacOS X, Windows(InDesignに準拠) | OS X Lion(10.7) |
アプリ化 | Single Editionの場合$395(iPad用) | アプリ化の機能なし |
書籍のみの流通販売 | アプリからダウンロード(別途課金) | iBookstore |
個別流通 | ファイルとしての流通は不可。Content Viewer経由でAdobe IDを使い共有 | .booksファイルを交換可能 | 機能 | Adobe Digital Publishing Suite | iBooks Author |
ページの作成方法 | InDesignの書類を複数作成して管理 | 1つの書類内でチャプター・セクションを追加 |
ページの移動 | 縦方向にページ、横方向に記事を移動する。十字に方向にページが並ぶ。 | スワイプしてページをめくったり、ピンチなどでページ間を移動。Push Pop Pressに似た操作性 |
ページの拡大表示 | 通常のFolioでは不可。PDF形式では可能(iPadのみ) | ピンチズームで拡大可能 |
縦・横向き | 2つのInDesignデータを用意 | 1つの書類内で切り替え |
文字の検索 | ページイメージが画像のため不可 | ページデータはHTMLのため検索可能 |
文字組み | 縦組みや文字組版などはInDesignの機能を利用 | Keynote, Pagesと同様のテキスト編集機能 |
日本語組版 | 縦組みなどInDesignの機能をそのまま利用 | 縦書きは不可 |
インタラクティブ機能 | Overlay Creatorパネルなどで設定 | ウィジェットを使い挿入 |
3Dデータの挿入 | 3Dモデルの挿入は不可。書き出したシーケンスとして画像を配置 | COLLADA (拡張子.dae)のデータを挿入 |
ビデオとオーディオ | MP4やMP3などをiPadで再生可能なフォーマットが使用可能 | ビデオは、H.264 (.m4v)オーディオはAAC (.m4a) |
HTMLの挿入 | 別途用意したHTMLファイルやURLをリンク | ページ上で直接編集。またはファイルをリンク。 |
グラフや表の作成 | InDesignの表作成機能を利用。グラフはIllustratorなどを使う必要あり。 | Pages, Keynote, Numbersのデータを利用可 |
テンプレート | なし | 6種類のテンプレートから選択 |
目次の作成 | 各記事へのリンクを個別に作成 | 目次機能を利用して作成 |
練習問題 | マルチステートオブジェクトなどを使い作成 | 問題作成機能を使用 |
パノラマ | 6分割画像を使用して配置 | なし |
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